Salesforce Data Cloud でデータストリームを作成する際、「イベント時刻項目(Event Time Field)」と「レコード変更済み項目(Record Modified Field)」は、データ更新の正確性と整合性を左右する重要な設定項目です。
これらの項目を正しく理解しないまま設定すると、データの重複や欠損といった問題を引き起こす可能性があります。
| 項目名 | カテゴリ | 設定 | 設定対象の例 |
|
イベント時刻項目(Event Time Field) | エンゲージメント | 必須 | 作成日、イベント日など(将来変更されない日付) |
|
レコード変更済み項目(Record Modified Field) | プロファイル/エンゲージメント/その他 | 任意 | 最終更新日(ファイル処理順序を管理するため) |
ポイント:
「イベント時刻項目」はデータの主キーに近い役割を担い、「レコード変更済み項目」は上書き更新の可否を判断します。
| 更新モード | イベント時刻項目 | レコード変更済み項目 |
| フル更新 | 適用されない | 適用されない |
| 更新/挿入 | 適用される | 適用される |
選択したイベント時刻項目は、内部的に cdp_sys_PartitionDate へ記録されます。この項目は数式フィールドであり、DateTime の場合は次のように時刻が 00:00:00 に変換されます。この処理はタイムゾーン変換の前に実行されるため、JSTの場合、後に 9 時間プラスされます。
変換の流れ(例)
| 処理段階 | 値 | 備考 |
| インポート時(UTC) |
2025/1/20 19:00:00 | イベント時刻項目 |
| 数式適用後(UTC) |
2025/1/20 00:00:00 | 時分秒をリセット |
| タイムゾーン変換後(JST) |
2025/1/20 09:00:00 |
cdp_sys_PartitionDate |
注意:
cdp_sys_PartitionDate の日付が少しでも異なると、新規レコードとして登録されます。(この点が複合主キーのようなイメージという所以です)
将来的に変更されない日付項目(例:作成日、イベント日、開封日、クリック日)を指定してください。
一度確定すると変更できないため、設定前に十分な検討が必要です。
「レコード変更済み項目」は、上書き更新の可否を判断するためのフィールドです。
インポート時に設定された値は ハイウォーターマーク(最大値)として管理されます。
| 項目 | 内容 |
| 対象データ型 | DateTimeのみ(Dateは不可) |
| カテゴリ | プロファイル/エンゲージメント/その他 |
| 適用範囲 | 更新/挿入時のみ有効 |
| 条件 | 処理 |
| 既存データの日時より大きい | 上書き更新を実行 |
| 同一または小さい | 更新は無視される |
例:既存の「レコード変更済み項目」が 2025/11/19 10:25:45 の場合
| インポート値 | 処理結果 |
|
2025/11/19 10:25:46 以上 | 上書き更新される |
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2025/11/19 10:25:45 以下 | 無視される |
データ処理の順序が乱れる可能性がある環境では、「レコード最終更新日」をレコード変更済み項目として設定することを推奨します。
イベント時刻項目が異なり、新しいレコードとして作成された場合は「レコード変更済み項目」は比較対象が存在しないため無視されます。
| 項目 | 主な役割 | 動作条件 | 推奨設定例 |
| イベント時刻項目 | 複合主キーとして上書き・挿入を制御 | 日付一致で上書き、日付不一致で新規作成 | 作成日、イベント日など |
| レコード変更済み項目 | 上書き更新の可否を制御 | 既存日時より大きい場合のみ更新 | 最終更新日など |
これらの項目を正しく設定することで、データの整合性を維持し、Data Cloud の処理精度とパフォーマンスを最適化できます。
寄稿者: 渡邊伸行 (Watanabe Nobuyuki) | Trailblazer Community Forum Ambassador
現在、株式会社エヌ・エイ・シー (FPT Japan Holdings Group) にて、Marketing Cloud Engagement のコンサルタントとして勤務。メール、LINE、アプリ PUSH を中心としたシナリオ設計、データ設計、キャンペーン運用、パーソナライズ施策の支援を通じて、Marketing Cloud Engagement を活用した顧客コミュニケーションの最適化に取り組んでいる。
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